● むち打ち損傷(Whiplash Injury)
【原因】
交通事故などで、首の部分が空中で空振りしたムチの動きのような、激しい振れ方をすることに例えて言う首の損傷のことです。
【症状】
損傷した直後から、症状が出るものと、数時間異常経過してから出るものがあります。
1.頚椎捻挫型
鞭打ち損傷の多くはこの型です。頚椎の関節が捻挫をおこして、周辺の筋肉、関節包、靭帯を傷つけ、首や肩が痛んで動かしにくくなります。
2.神経根損傷型
首が前に強く屈曲した時は、神経根は前上方にひっぱられ、首が後方に強く倒れると、椎間孔の大きさが最小になり、神経根は圧迫されて刺激を受けます。
3.脊髄症状型
脊髄に損傷を受けると、脚部のしびれ感、歩きにくい、便や尿が出にくいと言ったことがあります。
4.バレ・リーウ型(頚部交感神経刺激症状型)
交感神経に損傷を受けると、症状は複雑になります。頭痛、めまい、耳鳴り、顔の痛み、喉のつまり感、視力障害、食べ物が飲み込みにくい等、いろいろな症状があらわれ、損傷の直後には、意識障害をおこすこともあります。
【診断】
損傷した時の状態を含む問診、視診、触診、X線検査などを行います。しかし、X線検査で異常のあるケースは少なく、本人の訴えによって診断すると、重症であるかどうかの判断は難しい場合も多いようです。
【治療】
一般的には、筋肉や靭帯が強く引き伸ばされたことに対して、反射的に筋肉が、強く収縮して疲労する結果、後になってから筋肉の痛みが生じます。疲労した筋肉を回復させるには、早くからの十分な安静が必要です。 損傷した直後から、たとえ症状が無くても安静にし、頚部を固定し、必要があれば、冷湿布をしたり、消炎鎮痛薬の投与を受けます。
【心得】
外から見てもケガの様子が見えず、本人の苦痛の状態が周囲の人にはわかりません。2〜3ヶ月の内に症状が無くなる場合が多いので、不安を抱かないようにし、症状を長引かせないためにも、疲労を避けながら積極的な生活態度が必要です。
|