● 膝の靭帯損傷
  (Injury of Ligament ofKnee Joint)

 膝関節は前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯によって支えられています。いずれかの靭帯が傷害されたり、切れたりすると、膝のスムーズな動きが損なわれます。

【原因】

 靭帯の損傷はスポーツによるものが殆どです。ジャンプ、着地、急激なスタートやストップ。ひねりなどの動作では、前十字靭帯と内側側副靭帯の損傷が多く、格闘技などでの接触損傷では、前十字靭帯、内側側副靭帯の他に、後十字靭帯及び内・外側側副靭帯の複合損傷もあります。

【症状】

 傷を受けた後、急性期には患部の痛み、関節の運動痛、腫脹などがあり、そのため歩行困難となります。
 急性期を過ぎると、痛みや腫れはおさまり、膝が使えるようになりますが、膝の不安定感が残り、階段の昇降やスポーツを再開すると、膝がガクッと崩れるような不安感を伴います。

【診断】

 傷を受けた時の状態、受傷歴、症状などの問診、視診、触診(手技によるストレステスト)などが行われます。

【治療】

 スポーツ現場で傷を受けた直後に応急処置としてRICEを行います。RICEにより痛み、腫れ、癒着をある程度抑えます。このRICE療法だけでも十分な治療になりますが、損傷が大きい場合でも、後の治療や治り具合に差が出てきます。覚えておくと良いでしょう。

R=安静(Rest) できる限り動かさないようにします。
I=冷却(Ice) 患部を直ちに冷却し、出血や腫れ、痛みなどの炎症を押さえます。
C=圧迫(Compression) 患部にスポンジなどをあてて、弾性包帯などで圧迫します。
E=挙上(Elevation) 患部を心臓より高くし、血液の流れを抑制して腫れを少なくします。

 ギプス固定や弾性包帯で固定することもありますが、温熱療法をしたり、サポーターを使用する程度で済む場合もあります。
 損傷の程度や年齢、スポーツ活動に復帰を望む場合などに応じて、手術をすることもあります。
 人工靭帯に置き換える手術が行われることもあります。しかし、手術からスポーツ復帰までは6ヶ月〜1年かかります。


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