● 変形性脊椎症

 脊椎(背骨)が、加齢に伴って、又は、慢性的な負担がかかり過ぎたりすると変形をおこし、痛みやしびれ感、運動障害などを引き起こす病気です。
 頚部や腰部に多く、それぞれ変形性頚椎症(頚部脊椎症)、変形性腰椎症と呼ばれます。
 安静、理学療法が行われますが、日常生活に支障を来たす場合、手術が行われます。

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● 変形性頚椎症
   (Cervical Spondylosys)

 頚部脊椎症とも言い、40代以降の中高年層に多い病気です。老化により頚部の骨が変形し、神経を圧迫して首の周囲が痛んだり、手がしびれたり、歩きづらくなったりします。

【原因】

 加齢による変形や、慢性的な頚部への負担、頚部の外傷などが原因となります。骨が変形するより前に、骨と骨の間の椎間板軟骨の変化がおこり、その椎間板軟骨に接する頚部の骨に、トゲの様な骨ができます。脊髄の通り道をはさんで、後ろにある一対の関節にも同様な変化が進み、これらの骨のトゲが脊髄から枝別れする皮膚や筋肉に向かう神経、腕や手に向かう神経、或は、脊髄そのものを圧迫し、様々な症状をあらわします。
 変形は、一番動きのある第5頚椎と第6頚椎の間の椎間板から始まることが多く、次いでその上下の椎間板におこります。

【症状】

 頚部の痛みから発病することが多いのですが、手がしびれたり、歩きにくいと言う神経圧迫による症状が先に出ることもあります。
 痛みは、後頭部痛、肩関節痛、背中の痛み、腕の痛みとして感じられ、耐え難いほど強い場合もあります。
 腕や手のしびれ感を伴うこともあります。
 脊髄そのものが圧迫されるほど進行した場合には、しびれる。細かい作業がしずらい。力が入りにくい。など手の症状の他、歩きにくい。足がつる。尿が出にくい。と言った下半身の症状がみられることがあります。

【診断】

 問診、視診、触診、X線検査のほか、脊髄造影、CT検査、MRI(磁気共鳴画像)検査等が行われます。

【治療】

 頚部の痛みだけと言う軽い症状の場合は、対症療法で症状はなくなりますが、再発もよくおこります。
 頚部の安静をはかり、湿布をしたり、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などの薬物療法や、頚部の牽引、温熱などの理学療法を行います。
 神経の周囲に直接、麻酔薬を注射する神経ブロックが有効な場合もあります。神経の麻痺が強い場合や、脊髄の圧迫症状が著しい場合は手術を行います。

【経過と予後】

 頚部や腕の痛みは、たいてい数ヶ月以内に軽減し、日常生活に不便を感じることは少なくなりますが、変形が元に戻ることはないので、再発もよくみられます。早めに専門医に相談することが必要です。

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● 変形性腰痛症
   (Lumbar Spondylosis Deformans)

 腰の背骨が変形して神経を圧迫し、腰痛や足の痛みを引き起こす病気です。

【原因】

 加齢による背骨の変化や、職業上、長時間同じ姿勢を取る場合、スポーツなどによる腰部の背骨への負担が原因になります。
 脊椎の間にある椎間板の変化に続いて、そこに接する脊椎の骨自体が増殖し、骨がトゲの様になったり、厚くなったりして神経を圧迫することにより症状があらわれます。
 但し、骨の変形と症状とは、必ずしも一致するものではありません。

【症状】

 主に腰痛と足の痛みです。特に朝の起床時に強く痛むことが多く、腰を曲げたり、反らしたり、回したりすると痛みます。
 痛みはお尻から、ももの後ろ側、ふくらはぎまで広がることもあります。 腰部脊柱管狭窄症を伴い、神経の圧迫が強くなると、足のしびれや冷たい感じ。足に力が入りにくい。休み休み歩かないと歩けない(間欠跛行)と言った症状が出ることもあります。
 変形性腰椎症は、腰部脊柱管狭窄症の原因として最も多く見られるものです。

【治療】

 腰痛が強い場合は安静にし、消炎鎮痛薬などの投与が行われます。湿布、コルセット等も効果があります。
 急性期を過ぎたら、温熱(ホットパックなど)、牽引などの理学療法や、腹筋や背筋などを鍛える運動療法も行われます。
 神経の通り道に直接、麻酔薬などを注射する神経ブロックも効果的です。
 足の痛みが強く、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を合併している場合は、手術を行うこともあります。

【予後】

 腰痛に関しては時々強く痛みますが、一般に次第に良くなります。脚部の麻痺がある場合は、手術時期を逃すと回復が悪い場合もあります。


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