● 頚肩腕症候群
   (Neck-Shoulder-Arm Syndrome)

 首、肩、腕の疼痛性の様々な症状を総称した診断名です。
 最近では、これらの内から胸郭出口症候群、頚椎骨軟骨症、腕の神経絞扼症候群が、それぞれ独立して名づけられるようになりました。

 いわゆる肩こりは、後頭部から首の後ろ側、肩から腕にかけての痛みや痺れを伴うことが多く、これらの症状は頚肩腕症候群にまとめられます。

【原因】

 頚椎の椎間板の異常。鎖骨周辺にある神経血管の障害。首や肩の筋肉疲労。精神的ストレス。内臓疾患などが考えられます。
 これらの誘因として外傷(例えば、衝突、追突事故、高所からの転落事故など)や、同じ姿勢を長時間続けなければならない仕事(キーパンチャーなど)が問題になります。

 首や肩の筋肉が疲労しておこる肩こりは、同じ動作を繰り返したり、同じ姿勢を長時間続けた時などによくおこります。
 また、ある筋肉にストレスが集中して疲労すると、筋肉内の血液が傷害されて、酸素欠乏や代謝物質が残留して、筋肉は収縮します。これがいわゆる「肩こり」の原因です。

 ストレスは自律神経に働いて、末梢血管を収縮させたり、筋肉を緊張させ、ますます筋肉を疲労させます。
 更に、その肩こりが気になってしようがなくなり、どこか他に悪いところがあるのではないか? と不安を持つと、いっそう症状が悪化し、慢性化することがあります。
 内臓疾患の関連痛(病気のある内臓から離れた位置の皮膚に痛みを感じる)として肩周辺が痛むこともあります。

【症状】

 筋肉痛、冷感、めまい、しびれ、肩こりなど、症状は様々です。
 自覚症状が殆どで、他人にはわからない痛みが伴います。

【診断】

 問診、視診、X線検査の他、神経学的検査が行われて診断されます。

【治療】

 薬物療法、理学療法、神経ブロックなどがあります。

 薬物療法は、消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、ビタミン剤、自律神経薬などが投与されます。
 理学療法は、温熱療法(ホットパックなど)、低周波通電、頚椎牽引などがありますが、牽引は場合によっては逆効果のこともあります。
 内臓疾患がある場合は、まずその治療を行うことが大切です。
 ストレスなどが関与する、自律神経系の障害の場合は、予後に不安を感じることなどにより、一層症状を長引かせてしまうこともあります。
 その場合は、ストレス解消をはかったり、場合によっては精神療法が必要になります。


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