● 急性腰痛症<ぎっくり腰>
    (Lumbosacral Strain)

 急激に体位を変えたり、重い物を持ち上げた時、或は、くしゃみや咳をした時など、何かの切っ掛けで、腰椎に突然大きな力が加わった時に、腰部にギクッと激痛がおこることから「ぎっくり腰」といわれます。
 X線写真では、急激な痛みが発生するような特別な異常はみられませんが、痛みは腰部に集中しています。体を動かすことにより痛みはひどくなり、身動きできない状態になります。
 しかし、重大な原因がある疾患ではありませんから、安静にして痛みの軽減するのを待ちます。およそ2週間程度でよくなるでしょう。

【原因】

 重い物を持ち上げたり、急激に外部からの力が加わった時に、腰椎周辺の椎間板、関節、筋肉、靭帯などに、一時的な障害や、部分的な損傷がおこったものと考えられています。

【症状】

 腰部に集中して激痛があり、腰を前後に曲げることや、寝返り、歩行などの動作が制限されます。体を動かすと痛みは増し、患部にさわると非常に痛みます。

【診断】

 問診、視診、理学的検査、X線検査などが行われます。腰だけでなく、足にも痛みや、しびれを伴う時には「椎間板ヘルニア」が疑われます。

【心得1】

 痛みで体は動かせませんが、場合により、数時間から2〜3日中には、痛みも軽減して行きます。本人の一番楽だと思う姿勢で安静を保ちます。
 基本的には、横向きに寝て、膝、股関節を60度位に曲げて、背中を海老のように丸く曲げた姿勢を取ると有効です。

【治療】

 現代医学では、急性期は患部への注射、消炎鎮痛薬、筋弛緩薬の投与などが行われますが、症状も軽減し、2〜3日の急性期も過ぎれば、温熱、牽引療法などを行います。

 東洋医学(鍼灸療法)では、当院の場合、急性期は患部の炎症を抑えるため、鍼治療と同時に、患部を冷す冷却療法を行う場合もあります。
 2〜3日後、症状も軽減し急性期が過ぎれば、鍼治療(低周波置鍼療法)と共に、各種の温熱療法(赤外線・マイクロ波)、腰椎牽引療法などを行います。

 比較的短期間に良くなります。当院の場合、約3回の治療で殆どの場合、疼痛も軽減します。治療開始後、約2週間以内に、予後の検討はつきますが、その後、徐々に足の痛みや、しびれなど、椎間板ヘルニアの症状へ移行する場合もありますので注意が必要です。

【心得2】

 症状が軽くなっても、腰痛を引き起こす生活動作には、十分注意が必要です。
 例えば、重い物を持たない。同じ姿勢を長時間続けないなど。また、積極的に腰痛体操を心掛け、腹筋、背筋の筋力強化を行うことが、腰痛予防のために効果的です。
 腰痛予防体操については「腰痛体操」で解説しています。


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