● 骨折

 骨折は、転倒、転落、衝突、などで骨に大きな力が加わった時に、頭から足先まで、あらゆる部分におこります。
 高齢者や、子供は、あまり大きな外力と思えない時でも骨折することがあります。
 症状には、激しい痛み、内出血、外出血、腫れ、変形などが見られます。骨折部が、皮膚を破って外側にまで発達しているものを開放骨折と言います。
 また、骨折部が外界と接触していないものを皮下骨折(閉鎖骨折)と言っています。適当な治療を愛ければ、数週間で、癒合して元通りになります。

★ 骨折の応急手当て

 骨折したと思われる場合、病院に運び込むまで、または救急車が来るまでに応急手当てをする必要があります。

★ 骨折部位の固定

 痛みを和らげ、骨折したところの安静をはかります。包帯、三角巾、板などを使います。特に、脊椎(首の骨や背骨)の骨折の場合は、患部を動かさないようにして、しっかり固定します。

★ 開放骨折の場合

 傷口を消毒してガーゼなどでおおい、細菌感染しないように注意します。




● 四肢の骨折

【原因】

三つに分類することができます。

★ 外傷性骨折
 通常見られる骨折で、相当の外力が骨に加わっておこります。

★ 疲労骨折
 弱い外力が骨の同一部位に繰り返し加わっておこります。

★ 病的骨折
 病的に弱くなった骨におこる骨折で、腫瘍、炎症、骨粗鬆症、骨形成不全症などでしばしばみられます。

【症状】

 骨折部位が痛み、特に動かすと痛みが強まります。開放骨折(骨折部位が皮膚を破り、外界に触れるため感染の危険性が大きい)の場合は外出血。皮下骨折(皮膚に傷がない閉鎖骨折)の場合は内出血のために局所が腫れ紫色になります。
 骨の連続性が完全に断たれる完全骨折の場合は、折れた骨が曲がったり、短縮したり、ずれたりして骨の変形がおこり、近くの関節が動かせなくなることがあります。
 或は、動かしても異常な方向に動くことがあります。また、折れた骨の端と端が触れ合い、コツコツと言う音が聞こえることもあります。

【診断】

 問診、視診、触診により、激しい痛みや、急に歩けなくなったり、手が動かなくなったり、局所が飛び出したり、腫れたりしている状態を診て、だいたい骨折と判断できますが、X線検査により、骨折の状況を確認します。

【治療】

 整復、固定、リハビリテーションが骨折治療の三原則です。

★ 整復

 一般には麻酔をかけて徒手整復(手を使って正常な位置に戻すこと)がおこなわれますが、筋力が強かったり、整復した位置の保持が難しい時は牽引が行われます。
 これらの方法で、整復できない場合や、正確な整復を要求される場合、或は、固定が必要な場合は、手術をして整復を行います。
 開放骨折の場合は、感染を防ぐことと、傷をふさぐことが大切で、細菌の増殖しない骨折後6時間以内であれば、骨の接合手術を行っても、骨髄炎になる可能性は少ないので安全であり、神経、腱の修復なども同時に行うことがあります。
 ですから、開放骨折では受傷後6時間以内を、専門家はゴールデンアワーと呼んでいます。

★ 固定

 ギプス包帯固定、金属プレート固定、絆創膏固定、などがあり、通常近くの関節もともに固定します。

★ リハビリテーション

 固定期間中から関節を動かさないで、筋肉を収縮させる運動を始め、筋力を維持し、血流の改善に努めます。骨折部の間に仮骨ができてきたら自分で動かす運動を始めます。

【経過と予後】

 骨折すると出血して血腫ができます。やがて骨を形成する細胞が増殖し始めると、線維性の骨組織と、軟骨でできた仮骨が形成され、その後、正常な骨になって骨が癒合します。
 強固な固定が不要となる程度に癒合するまでの期間は、場所によって違いますが、普通、前腕・上腕の骨で5〜6週。大腿(太もも)・下肢(膝より下)で8週。大腿骨頚部で12週はかかり、機能を回復するには更に、この2〜3倍の日数が必要です。
 しかし、手術をすることによって、早期に機能回復のための訓練を始められますが、骨折の癒合完了までに必要な期間が短縮するわけではありません。また、栄養状態が悪いと治癒に時間がかかります。
 整復や固定法が適切でないと、骨がついても曲がっていたり、ずれたりすること(変形治癒骨折)があります。小児では、多少の変形が残っても成長に従って自然に矯正されることが多く、成人の場合も、日常生活に支障が無ければ、多少の変形があっても、そのままにしておく方が良い場合もあります。
 また、開放骨折で、周囲の組織がひどく傷つき、血行に障害があったり、或は、感染した場合、折れ方が悪かったり、固定が難しい場合、また、老人で骨がつきにくい場合や、早期に固定を取ってしまったりした場合などに、偽関節になることがあります。

 偽関節は、骨折部が強い瘢痕組織で覆われ、もうそのままでは癒合することはありません。まるでニセの関節のように骨折部で、あらゆる方法へ動かせるような、異常な動きが見られます。偽関節の治療には手術が必要で、最近では骨の癒合を早めるために、電気や磁気を通して、仮骨の形成を促すことも行われています。変形性治癒骨折や、偽関節を避けるためには、始めから専門の整形外科医にかかり、完全な治療を受けることです。




● 脊椎骨折(Fracture of Spine)

【原因/症状】

 高いところから落ちたり、上から物が落下してきたり、自動車事故や、水泳の飛び込みなどで、頭部や背部を強く打った場合によく脊椎骨折をおこします。胸椎と腰椎の境あたりの、椎体の圧迫骨折や頚椎の骨折をおこすことが多く、時には脱臼を伴い、脊髄を損傷することも少なくありません。
 したがって、患者の運搬や体位の変換には最新の注意が必要で、特に頚部の神経を損傷すると、上肢から下半身にかけての麻痺をおこすので、頭を曲げたり回したりすることは絶対に避け、首が動かないように固定しなければいけません。 骨粗鬆症による脊椎の圧迫骨折は「骨粗鬆症」の項目を参照して下さい。

【診断】

 損傷部の安静を保ちながら、神経症状や合併損傷がないかX線検査やCT検査が行われます。

【治療】

 頚椎の脱臼骨折の場合は、頭蓋牽引によって整復することが多く、必要であれば手術による整復が行われ、脊椎の固定手術が加えられます。
 麻痺が無く、程度の軽い場合は、安静期間を経た後、頚椎固定装具などをつけて歩行が始められます。
 胸椎・腰椎部の骨折で脱臼を伴う場合は、整復操作により神経損傷をまねくことがあるので、整形外科専門医のもとで適切な治療を受けるようにします。
 神経症状のある場合、多くは手術による整復や脊椎の固定が必要となります。




● 骨盤骨折

【原因/症状】

 交通事故や高い所から落ちたりして、骨盤を骨折することがよくあります。骨盤以外の他の臓器を損傷していることも多く、大量出血しやすいので、集中治療により、まずショック状態を脱することがポイントになります。

【治療】

 症状が安定している場合や、骨折部のズレが少ない場合は、安静にしているだけで大丈夫です。ズレが大きい場合は、牽引などで整復しますが、必要であれば手術を行います。




● 肋骨骨折

【原因/症状】

 胸部を強く打った時や、まれにはくしゃみやゴルフの素振りなどで肋骨を骨折することもあります。胸膜や肺を損傷していないか調べることが必要です。

【治療】

 バンドなどで胸の動きが少なくなるように固定して、安静を保ちます。一般に1ヶ月程度で痛みは無くなります。


 情報室 MENU に戻ります